ENC(Electronic Navigational Chart 航海用電子海図)とは、政府公認の、電子化された海図データです。
その内容は、紙の航海用海図と同等です。
ENCは、別途ご用意いただく、専用の表示機器またはパソコン用のソフトウェアの上で動作します。
ENCを使うことによるメリットは環境によって様々ですが、一例として以下をご覧ください。
日本のENCは海上保安庁海洋情報部が刊行しています。外国のENCは、それぞれの政府や政府公認の機関がENCを刊行しています。ENCの記述フォーマットは、国際水路機関(IHO)が定めるS-57フォーマットです。
(古いシステムあるいは上記以外のメーカのソフトウェアをお使いの場合は、S-63暗号化ENCに対応していることをご確認ください)
(一部の代理店では、表示ソフトウェアの購入とENCの契約を同時に行えます)
日本水路協会では、刊行者から受け取ったENCデータにIHO S-63フォーマットで暗号をかけ、CDを複製し、ご注文に従って暗号を解く鍵を発行し、販売代理店やインターネットを通じて頒布しています。
ENCは、ライセンス契約を結ぶことによって利用が可能になるデータです。契約期間は、3ヵ月間、6ヵ月間、9ヵ月間、12ヵ月間の4種類です。
航海の安全のためENCをご利用いただくには、ENCを最新維持しておく必要があります。ENCは利用期限が過ぎると電子水路通報による最新維持は出来なくなります。
契約当初の利用期限を越えてご利用になる場合は、別紙のENC利用申込書による更新が必要となります。 (満了日の2ヵ月前から受付)。
ENCデータは、細かく分かれています。
まず、拡大表示用の「入港」から、縮小表示用の「概観」まで、航海目的に応じた5種類のデータがあります。
それぞれの航海目的のデータは、場所ごとにセルと呼ばれる矩形(四角形)のデータに分かれています。
お客様は、カタログを参照して、必要な海域のセルを必要な航海目的の分だけ選んで、利用契約を結びます。
(外国のENCでは、航海目的が6種類あったり、セットでの契約のみだったりする場合があります)
海図データは、安全のために最新の状態で使用する必要があります。
そのための更新データは、毎週の金曜日に発行されます。
更新データ自体には料金はかかりません(契約料に含まれています)。
更新データの入手経路は、ENC-Support ウェブサイト(ENC-Supportの操作方法 (PDF:1MB))からのダウンロードと、CDの定期購読の2種類がありますが、CDの定期購読の方は、実費の経費をいただいております。
航海の安全を守るために、ENCは、必ず最新維持を行って使用して下さい
ENCの表示機器の中でも、ECDIS(エクディス)と呼ばれる表示機器があります。ECDISの上で、最新に維持されたENCを、適切なバックアップ装置とともに使用すれば、紙の海図を持っているのと同等とみなされます。ECDISとは国際海事機関(IMO)の性能要件に則った装置で、Electronic Chart Display and Information Systemの略です。
ECDIS以外にも、使用目的に応じて、さまざまな表示機器またはソフトウェアが開発されています。
国際航海に従事する 500 G/T 以上の客船、及び、3,000 G/T 以上のタンカー・貨物船について、2012年 (平成24年) 7月から、順次、電子海図表示情報システム (ECDIS) を搭載することが義務付けられます。 そこで、国際水路機関(IHO) では、2010年(平成22年) 1月に “IHO S-66 電子海図とその船舶搭載要件の実際” (オリジナル英語版) を作成・発行しました。
このガイドブックは、公式電子海図と非公式電子海図の違いや、船舶が電子海図を使用する際の要件、注意事項などを “質疑応答” 形式で取りまとめ解説した参考書です。 日本水路協会では、国際水路機関(IHO)の許可を得て、このガイドブックのオリジナル英語版 (IHO S-66 “Facts about Electronic Charts and Carriage Requirements”) から日本語暫定翻訳版を作成しました。 ダウンロード (無料) してご利用下さい。